SF作家の豊田有恒氏が85歳で亡くなりました。
豊田氏は若くしてSF小説でデビュー、テレビアニメ『鉄腕アトム』『エイトマン』や『スーパー・ジェッター』等のシナリオを手掛けた後、『宇宙戦艦ヤマト』のSF設定を担当。
まさしく、現在に続く日本のアニメ文化の礎を築いた一人でした。
そんな豊田氏に『「宇宙戦艦ヤマト」の真実』(祥伝社新書)という著書があります。
これは、一世を風靡した『宇宙戦艦ヤマト』という作品について、「某大新聞」が豊田氏に取材しながら、その発言を全く違う方向にねじ曲げ、「統一的な解釈」に誘導しようとする記事を載せたことに憤慨し、「歴史の証人として、後世のため、事実関係を書き記しておきたい」として出版した本で、まさにこれが貴重な歴史の証言書となりました。
『ヤマト』のプロデューサーだった西崎義展という人物は、実に毀誉褒貶(というか、正確には「毀毀毀誉褒貶貶貶」くらいか?)が激しく、豊田氏も実際に何かと散々な目に遭ったようですが、この本ではその顛末も冷静に書いています。
そして、その本の中で、私が特に印象に残ったのは「コンテンツ(contents)」という言葉に対する違和感について書いているところでした。
これをブログで紹介したところ、
https://www.gosen-dojo.com/blog/19422/
偶然にも同時期に、映画監督の是枝裕和氏が毎日新聞のインタビュー記事で「映画は『コンテンツ』なのか」と発言。
そこでよしりん先生が、「小林よしのりライジングVol.286」(2018.9.25配信)の『ゴーマニズム宣言』で、「コンテンツは作品じゃない」と題して取り上げました。
https://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1674018
なぜ「コンテンツ」という言葉に違和感を覚えるのか?
よしりん先生は、ここで端的に分析をして、
「『コンテンツ』という言葉がはびこっていることも、『感性の劣化』の一例だと言える。」
と結論付けています。
ご興味のある方はご一読ください。
「個々のクリエイターの創造性が、コンテンツという単語からは感じ取れない」
これを豊田有恒氏の遺言として心に留めておきたいと思います。
ご冥福をお祈りします。